星がきれい わたしのそばにいて… 寂しい、とか 会いたいね、とか いつもはがまんしている言葉も たまには、つい口に出しちゃうことだってあるよね…? だけど、今 香港に行こうかな、なんて言ってみたら、急に黙ってしまったから なんだか急に気まずくなって 「…小狼君は?また日本に遊びに来る予定はないの?」 余計なことを言ってしまった。 「おれは…まだ、ここを離れるわけにはいかないんだ…」 言いにくそうに、だけど、やっぱり変わらない答え。 後悔するわたしの耳に、慰めにもならないような言葉が響く。 「…こっちじゃ、ロクに星も見えないのにな。」 ため息が聞こえて、ますます言葉に詰まってしまう。 それから、電話をかけられなくなった。 声が聞きたいなんて、ごく当たり前のことで。 だけど、電話に出るあなたの声からは、あまり感情が読みとれなくて 不機嫌なのかと思うくらい、ぶっきらぼうなことも多いよね。 なんだか複雑なきもちになる。 こんなに距離があると 心も離れていってしまうものなの? いつもそばにいてほしいのに… 香港の空をおぼえてる。 所狭しと軒を連ねた建物 その隙間から見える空は、いつも黒い雲が垂れ込めていて 魔法の力を借りないと 太陽すら、地上からは見ることができなかった。 だから 月の力も 星の力も わたしたちを助けてはくれないのかな お願い。わたしを忘れないで… 寒さに身をすくめながら家の近くの坂道をのぼる。 右手に提げたコンビニの袋が、なんだか重く感じる。 いくらクラブで疲れたからって お弁当なんて買ってきちゃったから またケロちゃんに文句を言われるんだろうな…。 びゅうっ、と強い風。 スカートを押さえて見上げると 雲が走ってる。 頭の上には、まあるいお月様。 星がきれい。 ふと気配に気付いて視線を向けると 坂の上に、見覚えのある人影が立っている。 「…う…そ…?」 幻かと思った。 「…遅かったな。」 ゆっくりと歩いてくる 月明かりに浮かんだ優しい微笑み。 すこし、背が伸びた? 彼の視線が手元に落ちたのを感じて あわてて白い袋をからだの後ろに隠す。 「あっ、あの…これは!その、今日お父さんもお兄ちゃんもいないからっ」 「…持つよ。」 半ば強引に袋を取られて 軽く指先が触れる でも 信じられない。 消えてしまいそうで、手を離せなかった。 「……ど、うして…?」 近くでぶつかった視線。 逸らした顔が 真っ赤になっているのがわかって 泣きそうになった。 「星を、見に来たんだ。」 ずるいな。そんな言い方。 じゃあ、わたしは どんな口実を使えば、あなたに会いに行けるの? |
→ end |
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